日々の音盤 2007/02 ⑤

2007/02/21 - 2007/02/25

Howie Beck / S.T.
Counting Crows / Hard Candy
Del Amitri / Waking Hours
Del Amitri / Change Everything
Del Amitri / The B-Sides: Lousy With Love
Del Amitri / Can You Do Me Good?
Delta / Slippin' Out
Neilson Hubbard / The Slide Project
Barbara Keith / S.T. [2nd]
Linus Of Hollywood / Triangle
David Mead / Tangerine
Oranger / Doorway To Norway

Kangarooというバンドを経て、1969年にソロ・デビューしたBarbara Keith。上記の2作目は1972年リリース。残されたソロ・アルバムはこの2作のみのようです。どちらもセルフ・タイトルなので、ちょっと注意が必要でしょうか。デビュー作は聴いていませんが、この2作目はアメリカ南部のルーツ志向の感じられるアルバムで、冒頭のBob Dylanの"All Along The Watchtower"以外は彼女の自作曲(共作を含む)となっています。

私がBarbara Keithの存在を知ったきっかけはNeal Casalがデビュー作で彼女の"Detroit Or Buffalo"をカヴァーしていたから。この曲は彼女の2作目に収録されている曲で、当初はNeal Casalのオリジナルだと思い込んで聴いていて、とても良い曲だと思っていたら、Barbara Keithなる人のカヴァーだと知り、色々と調べた次第。実際に彼女のアルバムを聴いてみると、作曲センスの良さは言うまでもなく、声も魅力的で、名盤として語られてきたのも納得の仕上がりでした。Spooner Oldham、Lowell George、Jim Keltnerを始めとして、素晴らしいミュージシャン達が味のある演奏を披露しています。なお、デビュー作も昨年ぐらいに紙ジャケでリイシューされているので、そちらも気になるところ。

長らく音楽界の一線からは退いていたらしいけど、ここ最近はThe Stone Coyotesというバンドのメンバーとして活動しているようです。

話は変わりますが、Fountains Of WayneのFuji Rock Fesへの出演が決定したとの情報が。これは喜んで良いのかなぁ・・・?

今日のYouTube。

Del Amitri / Always The Last To Know 《2007/04/01-リンク削除済》

今日の音盤 2007/02/25

画像今日の音盤。

Del Amitri / Change Everything (1992)

ScotlandのGlasgowのバンドの3作目。デビュー・アルバムのリリースが1985年だから、デビューから約7年で3作という事で、寡作な部類に入りましょうか。この後、95年に4作目、97年には5作目と、いずれも素晴らしい内容のアルバムをリリースし、順調に活動を続けておりました。ベスト盤とシングルのカップリング曲を集めたコンピ盤を1998年に同時期にリリース。そこから4年ほど後の2002年に現在までのところ最新作となっている6作目が出ております。

デビュー作の音は後の作品に比べると線の細いもので、インディ・ギター・ポップという感じでした。遡って聴いた事もあり、悪くはないけれど、まだ変身前といった印象の音ですね。そこから間隔を置いての2作目はレーベルを移籍してのリリースで、ここから再スタートと言えそうかな。共作も含めて全曲の作曲を手がけるJustin Currieが素晴らしく成長を遂げており、曲も良く書けているし、ヴォーカリストとしても魅力が開花していますよね。

その変化のポイントはUSのルーツ・ロック的な要素を取り込んだサウンドにあると言えましょうか。これが従来のポップ・センスとうまくブレンドされ、USでもUKでもないような彼ら独自のサウンドを生み出したように感じられます。この2作目での成果が最高の形で発展・結実したのが3作目"Change Everything"だと私は思うのです。出会いのアルバムでもあり、思い入れも深く、今でも聴く度に心がほのかに温かくなるような気がします。

1曲目"Be My Downfall"。これまでに数々の名曲に出会ってきたけれど、その中でも特に大好きな曲です。この曲の秘めている空気が堪らなく最高なんですよね。なぜだか、夜明けの歌のように思えるのは私だけでしょうか。ここから何かが始まるような、そんな情景が曲から感じられるのです。

2曲目"Just Like A Man"は男臭さみたいなものを感じさせると言いましょうか。3曲目"When You Were Young"は軽快でメロディアスな曲ながら、歌詞の内容もあって、甘酸っぱく響きます。本当に良い曲を書くんですよねぇ。4曲目"Surface Of The Moon"は歌詞から感じられる孤独感が演奏でもうまく表現されているように思えて、ポイント高し。

5曲目"I Won't Take The Blame"はめちゃくちゃ好きなんですよ。特に後半が堪らない。Justin、最高! 6曲目"The First Rule Of Love"はほの暗い哀愁を漂わせたブルーズっぽいフォーク・ソング・・・って、良く分からん表現になってますが。聴いていると、こっ恥ずかしい気分になってしまう。7曲目"The Ones That You Love Lead You Nowhere"はストレート過ぎるぐらいのロック・チューン。

8曲目"Always The Last To Know"はシングルにもなった曲でもあり、とてもキャッチィ。ナチュラルな雰囲気が心地良い。9曲目"To Last A Lifetime"は伸びやかなメロディが印象的。10曲目"As Soon As The Tide Comes In"は曲良し、歌良し、演奏良しの完璧さです。これも名曲だなぁ。

11曲目"Behind The Fool"は心をくすぐるようなポップな曲ですが、歌詞は誰かに向けて語りかけているようでありながら、自問自答のようにも取れますね。12曲目"Sometimes I Just Have To Say Your Name"。彼らのアルバムは最後の曲が聴きどころでもあるのですが、他のアルバムに比べると、この曲はちょっと地味かな。もちろん、これはこれで締めくくりに相応しい佳曲です。

やはり、何度聴いても素晴らしい。名盤です。何となくなんだけど、寒い時期に聴きたくなるんですよね。歌詞にも注目したいですね。この他の作品では、ポップさを増した5作目"Some Other Sucker's Parade"も大好きな作品。同じ年に出た同郷のTeenage Fanclubの"Songs From Northern Britain"にどこか通じる空気感を有しているように思え、作風に幅が出てきたように感じられるアルバムでした。

その5作目の後にはベスト盤&コンピ盤を経て、2002年に久々の6作目"Can You Do Me Good?"が出たものの、ここでは音の質が大きく変化していて、少なからず戸惑ってしまいました。その間に所属レーベルのA&Mが買収(?)され、その煽りなのか、USでは多分リリースされていなかったはず。結局、この6作目の評判が良くなかったのか、本国でのレーベルとの契約の切れ、そのまま現在に至っているようです。

次作の制作などは終わっているとの情報もあり、それがJustin Currieのソロになるのか、Del Amitriとして出されるのかは分かりませんが。ちなみに、現在のDel Amitriのメンバーは3人のみのようです。新録曲はJustinのmyspaceにて試聴可能。そのmyspaceページを見ていると、レコード会社との契約がない状況から来る苦悩やストレスが感じられてしまい、やるせない気分になってしまいます。ジョークも込めて書いている部分もあるんだろうけど、細かいニュアンスまでは英語だけに読み取るのが難しかったりもするので。

とにかく、できるだけ早く元気な姿で復活してもらいたいもんです。

Del Amitriのオフィシャル・サイトmyspace
Justin Currieのmyspace

あの人は今・・・?

あのアーティストやバンドはどうしているんだろう? そう思って、いくつか調べてみると、その後を掴めたものがあったので、ちょっとまとめてみます。

まずは、Gigolo Aunts。どうやら活動は停止しているようで(昨年の秋にSpainでライヴを行っていますが)、メンバーのPhil Hurleyはソロで活動、アルバムのレコーディングは終わっているようで、そのうちリリースされるのかな。同じくメンバーのDave GibbsはKid Lightningとして活動、スプリットEPとかをリリースしていたようです。そして最近になって、Low Starsなる新バンドでの新作がリリースされています。USとCanadaのStarbucksでの限定発売らしく、ちょっと入手はしづらそう。

次に、Erik Voeks。アルバム1枚とシングル数枚を残したのみで、何をしているのかなと思っていたけれど、The Octopus Frontierというバンドで活動しているようです。myspaceもあるので試聴してみたら、かつての勢いのあるギター・ポップとは印象がかなり違っていましたが。まあ、今も音楽に関わっているのが分かって嬉しかったです。

次は、Neilson Hubbard。1997年にソロ・デビュー、その後、Parasolレーベルに移って、2枚のソロ作を発表。その後は特に話題を目にする事もなかったのですが、Matthew Ryanとのデュオ、Strays Don't Sleepを結成、アルバムを昨年(2005年との表記もあり)リリースしていました。AMGのレビューでは、The Blue Nile辺りの名前を出していたので、静謐な音になっているっぽいですね。

そして、Delta。あまり有名なバンドではないけれど、ポップ・ミュージック・ファンの心をきゅっと掴むような魅力を持ったバンドだったのです。オリジナル・アルバムを2枚と編集盤を2枚を残して、活動停止(あるいは、解散?)。中心人物だったRoberts兄弟の片割れ、James Robertsのソロ・アルバムが昨年リリースされていました。

最後に、Jesse Valenzuela(彼はあの人は今っていう感じじゃないけれど)。Gin Blossomsのメンバーで、昨年のGBsのアルバムでは中心的な存在とも言えるぐらいの活躍でした。そんな訳で、GBsに集中しているのかと思っていたら、Canadaのポップ・バンドのOddsのメンバーだったCraig Northeyとによるデュオ、Northey Valenzuela名義でのアルバムをこれまた昨年リリースしていました。全く気付いてませんでしたよ。

以上、あまり深く調べていませんが、情報をまとめてみました。オフィシャル・サイトやmyspaceがあるものも多いので、気になった方はチェックしてみて下さい。

この辺りの情報をリアル・タイムで入手するのって、かなり難しいものがありますね。気付いていないままの情報も多いんだろうなぁ。

日々の音盤 2007/02 ④

2007/02/16 - 2007/02/20

Cotton Mather / The Big Picture
The Days / The Mystery Of The Watched Pot
Del Amitri / Some Other Sucker's Parade
Delta / Hardlight
Bob Egan / The Glorious Decline
Will Kimbrough / Americanitis
Jess Klein / City Garden
Grant McLennan / In Your Bright Ray
David Mead / Indiana
David Mead / Wherever You Are
Model Rockets / Hi Lux
Beaver Nelson / The Last Hurrah

Bob EganはWilcoやBlue Rodeoなどのバンドのサポート・ギタリストとしての活動でも知られるアーティスト。昨年リリースの"The Glorious Decline"は4年ぶりぐらいの3作目。Jay Bennettも参加していたデビュー作、Blue RodeoのGreg Keelerとの共同プロデュースの2作目、どちらも良質のSSW作品として忘れられないアルバムなのです。

Torontoでの録音となっており、Blue Rodeoとの関係の影響か、現在はCanadaをベースに活動しているのでしょうか。そう思って聴くからか、音も少しCanadaっぽくなったような気がします。前作まではRoy Orbisonを思わせるような声で、ゆったりしたカントリー寄りのSSW作品っていうイメージだったのだけど、ここではDaniel Lanoisのプロデュース作品に通じるような独特の空気感を感じさせる音になっていますね。ヴォーカルも曲によってはJohnny Cashを思わせたりも。夜の音楽。聴き込むほどに味わいを増しそう。

なお、リリースもCanadaからで、Universal系列のFontana Northとなっており、初のメジャー・レーベルからの作品となりました。Bob Eganのオフィシャル・サイトmyspace。CD Babyでも試聴可能です。

今日のYouTube。

Tal Bachman / She's So High 《2007/03/21-リンク削除済》

The Days

The Daysというバンドをご存知でしょうか。その昔、音楽雑誌『ストレンジ・デイズ』でアルバムが紹介されていたのだけど、店頭で売られているのを見た事はありませんね。私はネットを始めた頃にNot Lameのサイトから購入したのです。実際に聴いてみて驚いたものでした。まあ、最近は忘れかけていたのだけれど・・・

何に驚いたのかと言うと、Jellyfishそのものかと思えるような音なんですよ。ヴォーカルも。ストレンジ・デイズの2000年10月号の特集での大枠レヴューにおいても、Jellyfishの名を出して語られています(微妙なニュアンスで紹介されていますが)。Jellyfishの解散以降、彼らの名前を引き合いにして紹介されるものは後を絶ちませんが、どれも実際に聴いてみると何かが違う。いや、かなり違うのがほとんど。でも、このバンドは怖いぐらいに姿がダブるのです・・・

バンド名がバンド名だけに、ネット検索しても全く引っかからず。数年前にも検索した記憶があります。アルバム・タイトルの"The Mystery Of The Watched Pot"で久々に検索しても望み薄っぽい。CD Babyで検索したら、The Daysというバンドはあるけど、別バンド。何となくブックレットを見ていたら、メンバーの名前が載っているじゃありませんか。Rick Norman、Paul Davis、Danny DeLaMatyrの3人。最初の2人は使えなさそうだけど、最後の人は使えそうだ。

これで検索してみると、引っかかってくれました。ちゃんと現役で活動中。それどころか、Danny DeLaMatyrのプレイをライヴで聴いていた可能性もある。彼はRhett Millerのソロ活動の際のバック・バンドのメンバーだったんですねぇ(日本にも来たのかどうかは分かりませんが)。ビックリだわ。2作目には参加していないけど、3作目には参加・・・って、1曲だけか。しかも、ギターじゃないな。

そんな活動を経て、現在は新バンド、The Sheersで活動中のようで、2006年にデビュー作(?)"Goodbye World"をリリースしていますね。バンドの他のメンバーはLuke Adams(Pete Yornのバンドのドラマーだとか)とBill Shupp。

ちなみに、The Daysの情報も少し得られたので書いておきます。90年代前半に結成され、Texas州のDentonを拠点に活動し、1995年にデビュー作"The Mystery Of The Watched Pot"をリリース(ストレンジ・デイズには1997年あるいは1999年と表記されています)。しかし、1997年に活動休止。1999年頃にChris Holtという人を迎えて活動再開、2001年ぐらいまでバンドは存在していたようです。

The Daysのアルバムは入手困難でしょうが、The SheersはCD Babyでチェックできますよ。Jellyfishっぽさは減少したような印象ですね。でも、ポップさは健在かな。Not Lameでは、Doug Powell、The Grays、Material Issue、Crowded House、Jellyfish辺りの名前を引き合いに出していますね。4曲目は確かにEmitt Rhodesに通じるものがありますね。

The Sheersのオフィシャル・サイト(準備中に近い状態)myspace

日々の音盤 2007/02 ③

2007/02/11 - 2007/02/15

Dan Baird / Buffalo Nickel
Clarkesville / The Half Chapter
Crashland / Glued
Del Amitri / Twisted
The Dream Academy / S.T.
Fluid Ounces / In The New Old-Fashioned Way
Bert Jansch / Rosemary Lane
Damien Jurado / Ghost Of David
Dan Kibler / Haunted
The Trash Can Sinatras / A Happy Pocket
Uncle Tupelo / Anodyne
The Wallflowers / S.T.

去年ぐらいから英国フォーク作品をよく聴くようになり、気になる盤をぼちぼちと揃えています。英国フォークの最重要バンドの1つであるThe Pentangleは避けては通れないのですが、ちょっと敷居が高そうな気がしたので、メンバーのBert JanschとJohn Renbournのソロから入ってみる事に。Bert Janschは名盤と名高い1971年の"Rosemary Lane"と1973年の"Moonshine"を購入。

まずは"Rosemary Lane"から。トラッドが3曲、カヴァーが2曲、残りが共作も含めての自作曲。アコースティック・ギターによる弾き語りまたはインストゥルメンタルです。これは困りましたよ。何だか妙に良くて、他のアルバムも欲しくなっちゃいました。普段聴いているものと全く違う音で新鮮に思えてしまう部分はあるにしても、聴き始めた途端に引き込まれてしまいました。どこに辿り着くのか分からないようなメロディだし、声も気分次第では聴きたくない系だけれども、このギターと共に響くと何だか素敵な音として脳に届きます。つらい部分もあるけれどね。"Moonshine"も含めて、じわりと聴き込んでみないと。

今日のYouTube。

Mindy Smith / One Moment More 《2007/03/16-リンク削除済》

49th Annual Grammy Awards

グラミー賞の結果が発表されましたね。賞とかに特に思い入れはないのだけど、このblogでも熱烈にレヴューしたDixie Chicksがノミネートされていたので、できれば受賞してもらいたいなと思っていました。

ご存知のように、Dixie Chicksが主要部門を独占状態。受賞した部門は・・・

◇ Record Of The Year [Not Ready To Make Nice]
◇ Album Of The Year [Taking The Long Way]
◇ Song Of The Year [Not Ready To Make Nice]
◇ Best Country Performance By A Duo Or Group With Vocal [Not Ready To Make Nice]
◇ Best Country Album [Taking The Long Way]

以上かな。最初の3つが主要部門。当然ながら、Dixie Chicksが単独で受賞という訳ではなく、プロデューサーや共作者なども含めて、それぞれの賞を受賞となっております。ついでと言っては何だけど、プロデューサーのRick RubinがProducer Of The Year, Non-Classicalを受賞していますね。これは他のプロデュース作品も含めての評価ですね。

良かったんじゃないでしょうか。受賞したからすごい作品なのではなく、すごい作品なのだから受賞したのです。これがきっかけでも良いから、より多くの人に聴いて欲しいですね。

しかし、Willie Nileの名前がロック部門にないようでは、グラミー賞も一から出直した方がええわな。

日々の音盤 2007/02 ②

2007/02/06 - 2007/02/10

Counting Crows / August And Everything After
Counting Crows / This Desert Life
Del Amitri / Change Everything
Del Amitri / The B-Sides: Lousy With Love
Freedy Johnston / Can You Fly
Gurf Morlix / Fishin' In The Muddy
Lucinda Williams / S.T.
Lucinda Williams / Sweet Old World
Lucinda Williams / Car Wheels On A Gravel Road
Lucinda Williams / Essence
Lucinda Williams / World Without You
Lucinda Williams / Live @ The Fillmore

4月後半に来日予定のGurf Morlix。"Fishin' In The Muddy"は2002年にリリースの2作目。インディ・レーベルからひっそりと出たので、それほど多くの人の耳には届かなかったのだろうけど、これは素晴らしいルーツ・ロックを堪能できるアルバムなんですよ。デビュー作に比べると、ややロック色が強まった感じでしょうか。ヴォーカルも力強さを増したような印象。すでに市場から姿を消しつつあるようだけど、CD Babyでは取り扱いがあるので、入手困難になる前に確保して欲しいなぁ。来日の日程は、こちら

今日のYouTube。

Blue Rodeo / Til I Am Myself Again 《2007/03/11-リンク削除済》

今日の音盤 2007/02/10

画像今日の音盤。

Lucinda Williams / Car Wheels On A Gravel Road (1998)

Louisiana州Lake Charles出身のシンガー・ソングライターの5作目。グラミー賞受賞作品でもあります。デビューは1978年で、この5作目は前作の"Sweet Old World"から6年ぶりの作品ですね。色々と事情があったにせよ、20年目にして5作目だから、やはり寡作であったと言えるでしょう。近年は3年に1作ぐらいのリリースになっており、安定した活動を続けているような印象を受けます。

このアルバムをレヴューするタイミングを窺ってきましたが、その時が来たようです。新作がリリースされ、彼女の長年の音楽パートナーだったGurf Morlixの奇跡の来日も実現ですから。まず書いておきますが、これは名盤中の名盤です。これよりも好きなアルバムは何枚かあるものの、これほどの豊潤な音楽性を秘めたアルバムを私は他に知りません。Steve Earleの"Transcendental Blues"と共に、私をルーツ・ロック系を聴く方向へシフトさせたアルバムですね。今になって振り返ってみると、結局、この2枚を超えるようなルーツ・ロック作品には出会っていないんですよね。もちろん、それは私の中での評価ではありますが。

ルーツ・ロックと書きましたが、この辺りの音を指す場合に使いたい言葉はアメリカーナ(Americana)ですね。ロック、フォーク、カントリー、ブルーズ、R&Bなどがそれぞれの感性でブレンドされた音楽。深く語れるほど色々と聴いたとまでは言えないけど、それなりに聴いてきた身から言うと、上述の音楽要素は明快な境界とかがある訳ではなく、かの地では身近で普通に接する音楽として存在しているんだろうなと。当たり前の事のように思えるけど、実際に自分の耳を通してそのように感じられるまでには少々時間を要しました。

その一方で、それぞれのジャンルにおける核と言える要素があるのも事実なんだと思ったりも。う~ん、結局は分からない事だらけで、話をまとめられないのであります。まあ、だからこそ音楽を聴き続けているんだと思うし、聴き続ける事で見えなかった地平が見えてくるのでしょう。これまでもそうでした。

さて、Lucinda Williamsです。1978年にデビューし、1980年には2作目をリリースしています。この頃の音は最近になって聴いたのですが、カントリーやブルーズの要素を盛り込んだフォーク系のSSWっていう印象。デビュー作はトラッド・ソングも含めてカヴァー曲が多いのですが、オリジナル作品の出来も遜色ない出来で、後の姿を予感させるだけのものがありますね。2作目は全曲が自作で、まだ線の細さとかがあるにしても、すでにスタイルを確立しているように感じられます。

そして、時は流れ、1988年に3作目をリリース。Lucinda Williams、Gurf Morlix(祝来日!)、John Ciambotti、Donald Lindleyの4人によるThe Lucinda Williams Bandとブックレットに紹介されている通り、固定バンドでの作品となっており、作品の一体感や深みがアップ。Lucinda本人の成長も大きいのは当然ですが、プロデュースも務めたバンドのリーダー的存在のGurfによる部分も大きかったはず。このアルバムのオリジナル・リリースはRough Tradeレーベルだったんですよね。

1992年の4作目もほぼ同じメンバーでの制作。Elektra傘下のChameleonレーベルへの移籍。それも手伝ってか、ややコンテンポラリーな方向へシフト。曲の出来も本当に粒揃いで、とても親しみ易いアルバムになっています。以前にも書きましたが、最初に聴くならこれが良いかな。円熟へと向かう前の成熟した姿が眩しい傑作。

そして、1998年の5作目"Car Wheels On A Gravel Road"となります。完成するまでにかなりの紆余曲折があったようですが、断片的にしか知らないので、ここでは割愛。ただ、Gurf Morlixらのバンド・メンバーとは本作を最後に袂を分かつ事になってしまいました(謝辞の言葉が何とも・・・)。ベーシック・トラックのプロデュースはSteve EarleやRay KennedyによるThe Twangtrustが担当、最終的な制作はRoy Bittan(The E Street Bandの鍵盤奏者)が行ったようです。Lucinda本人も共同プロデューサーとしてクレジットされていますね。

Rick RubinやJim Scottがミックスを担当、豪華な面々です。参加ミュージシャンもすごくて、Gurfらのバンドに加え、Steve Earle、Buddy Miller、Roy Bittan、Greg Leisz、Charlie Sexton、Jim Lauderdale、Emmylou Harris、Bo Ramseyなどなど。本当に素晴らしい演奏を披露しています。さて、長くなったので、この辺で各曲の話に。

1曲目"Right In Time"はアメリカの少し乾いた風を感じるような曲で、目を閉じると広大な土地が目に浮かぶよう。曲も演奏もとてもナチュラルな響き。素晴らしい。2曲目"Car Wheels On A Gravel Road"も大陸的な大らかさが伝わってきます。貫禄。3曲目"2 Kool 2 Be 4-Gotten"はタイトルがPrinceみたい。淡々とした中に何かが見えてくるのです。

4曲目"Drunken Angel"は粘っこいヴォーカルが心に絡みつきます。素面では聴きたくない曲だけど、今日は素面で聴いています(だから、全体の文章も冷静なトーンのはず)。5曲目"Concrete And Barbed Wire"はアメリカーナど真ん中と言えそうな曲。ラフな質感が堪りませんな。やはり何か飲みたい。6曲目"Lake Charles"は彼女の生まれ故郷をタイトルに冠したスロウ・チューン。これも情景が思い浮かぶような名曲ですね。

7曲目"Can't Let Go"のみカヴァー曲。少し前に来日していたRandy Weeksの曲(セルフ・ヴァージョンは彼の2000年のデビュー作で聴けます)。かっこいいなぁ。8曲目"I Lost It"はLucindaの伸びやかなヴォーカルが何とも素晴らしい。9曲目"Metal Firecracker"は最もポップな曲かな。最初に好きになったのがこれでした。最高。この曲もそうなのだけど、失恋を歌った曲が少なくないのです。どんな切り口で表現しているのかに注目といったところでしょうか。

10曲目"Greenville"では、Emmylou Harrisがハーモニー・ヴォーカルで参加、印象的な声を披露しています(彼女はLucindaの"Sweet Old World"をカヴァーしていましたね)。彼女の書く歌詞は同じようなフレーズを繰り返す事がよくあるのだけど、この曲もそうですね。曲の良さや声の力もあって、歌詞も説得力を持って響きます。11曲目"Still I Long For Your Kiss"は抑えた熱さとでも言えそうか。ストレートかつシンプルな歌詞だけど、彼女が歌えば一味違います。

12曲目"Joy"はとにかく聴いてみるべし。言葉では説明できない。ライヴで聴きたい! 13曲目"Jackson"は名盤の最後に相応しい、究極とも言える名曲ですね。深く豊かな演奏、優しく寄り添うハーモニー・ヴォーカルなど、どれもが最高。素晴らしい小説を読み終えた時のような余韻を聴く者の心に残し、幕を閉じます。

筆舌に尽くしがたいとは、このアルバムの事か。自分の文才のなさが悲しくなります。歴史的名盤にして、心の名盤。いつまでも聴き続けます。いつかライヴを体験できると信じて。

さて、いよいよリリースの新作ですが、まだ聴けてません。仕方ないので、旧譜を聴きまくり。やはり素晴らしいですね。彼女の作品を未聴の人には是非とも聴いてもらいたいし、アメリカーナ作品にも多く触れて欲しいですね。最後に、彼女のアルバム・ディスコグラフィを。

Ramblin' (1978) (リリース当時のタイトルは"Ramblin' On My Mind"?)
Happy Woman Blues (1980)
Lucinda Williams (1988)
Sweet Old World (1992)
Car Wheels On A Gravel Road (1998)
Essence (2001)
World Without Tears (2003)
Live @ The Fillmore (2005)
West (2007)

日々の音盤 2007/02 ①

2007/02/01 - 2007/02/05

Neko Case & Her Boyfriends / The Virginian
Copeland / Beneath Medicine Tree
Elvis Costello / This Years Model
Cotton Mather / Cotton Is King
Chris DiCroce / Brand New Fool
Chris DiCroce / American Dream
The Format / Interventions + Lullabies
The Honeydogs / S.T.
Ben Kweller / S.T.
David Mead / The Luxury Of Time
Sherwood / Sing, But Keep Going
The V-Roys / Just Add Ice

Copelandを初聴き。気になりながらも購入を延ばし延ばしにしていたら、3作目も去年リリースされてしまいました。評判になっているのも頷ける音ですね。でも、今の自分に必要な音かと言われると、そこまでではないような。まあ、聴き始めたとこなので、まだ分かりませんが。

Sherwoodも初聴き。こちらは2作目のリリースが近いようです。今時のバンドっていう感じの音の中に懐かしさみたいなものが自然に溶け込んでいるように感じられ、こちらはかなり良さそう。似ているとかではなく、The Waxwingsのデビュー作を初めて聴いた頃の事をちょっと思い出しました。聴き込めば、さらに好きになる予感。

The Frank And Waltersの新作は本国のIrelandでの先行リリースで入手しづらい状況でしたが、UK盤がやっと出るようです。3月12日リリース予定。HMVのサイトでも予約を開始しております。

今日のYouTube。

Toad The Wet Sprocket / Something's Always Wrong 《2007/03/06-リンク削除済》

落穂拾い

記事にしようと思いながらも忘れてしまっていた事を思い出してみるテスト。

Kyle VincentのDVDがオフィシャル・サイトでの先行発売の形でリリースされています。収録時間は90分ぐらいらしく、来日の際の映像もあるとか。私はまだチェックできておりません。手が回らなくて。再来日への動きがあるとの話もちらほら。引き続き気にしておきたいところ。

続いて、Bread。初期の3作品が再CD化されるようです。リリース予定日は3月13日。未CD化だったラスト・アルバムも昨年の秋に再発されており、これで全作品が普通に入手できる状況になったのかな。ベスト盤しか持っていないので、この辺りもじわりと聴いていきたい。

次に、The Model Rocketsのその後。The Model RocketsはSeattleのパワー・ポップ・バンドで、個人的にはパワー・ポップと言えば真っ先に思い浮かぶのが彼ら。2003年リリースの"Pilot County Suite"以来、リリースから遠ざかっていましたが、The Model Rocketsとしての活動を停止、新たなバンドを結成して5曲入りEPをリリース。これは何ヶ月も前だったような気がします。新バンドの名前は、The Doll Test。まだ入手できていませんが、CD Babyにて取り扱われているので試聴可能です。

そして、Seth Swirsky。彼の2004年か2005年に出たソロ・アルバム"Instant Pleasure"は良い感じのポップ・アルバムなのです。その彼がMike Ruekberg(Rex Daisyっていうバンドの人。このバンドも調べてみると、とても気になる存在に)と組んだユニット、The Red Buttonのアルバムが少し前にリリースされております。例によって、Sethのソロ・アルバムと共にCD Babyにてチェック可能です。

さらに追加で、これは昨日ぐらいに気付いたのですが、上記のMike Ruekbergのソロ・アルバムもリリースされていました。CD Babyではなく、Not Lameでの取り扱い。かなりのプッシュ・アイテムになっていますね。試聴もフルでできるようです。これも良さそうだ。

今日もCD Babyの宣伝みたいになってしまったような。以上、忘れかけていた情報を思い出してみました。

パワポ関連の情報

パワー・ポップ関連の情報を少々。

まずは、Shoesです。70年代後半にデビューしたバンドで、トリビュート・アルバムも出ているように、その筋ではかなりの支持を得ている存在です。彼らのCDは入手困難な物が多く、彼らのレーベルであるBlack Vinylのサイトを通じての購入以外での入手は難しい状態でした(しかも、CDではなくCD-Rの物が多い)。

そんな彼らのCDがいつの間にやら、CD Babyでほぼ全作品が販売されていました(気付くのが遅かったせいか、一番欲しかったブツは在庫切れ)。CD Babyなので、試聴もできまくりなのが良いですね。ついでに、iTunesなどでのダウンロード販売もスタートしたとか。

とりあえず、2枚ほど発注してみました。CD-Rの可能性もありそうですが、まあ、実際に聴けるというのは大きいですからね。彼らの作品で私が持っているのは2枚組の限定盤"As Is"のみで、これは某ショップの閉店の際に80%オフで入手という強運を発揮したんですよねぇ(この時に運を使い果たしたとの説も・・・)。他には前述のトリビュート盤ぐらいなもんで、大物パワー・ポップ・バンドとの認識はあっても、実態が掴めていなかったので、これを機会に少しずつ聴いてみたいなと思っています。

んで、そのShoesの中心的な存在のJeff Murphyのソロ・アルバムが今年の初めにリリースされていたようです。Herb Eimermanと組んだバンド、The Nerk Twinsの唯一のアルバム以来っていう事になるのかな。10年ぶりぐらいか。こちらも気になります。これも調べてみると、CD Babyで扱っているので、気になる方はチェックを。

次に、Richard X. Heyman。こちらも新作がリリースされていました。Not Lameのサイトには何かごちゃごちゃと書いてありましたが、ちょっと時間がないので、ちゃんと読めていません。気になる方は、そちらを見て下さい。CD Babyにて取り扱われております。

以上、CD Babyの宣伝みたいになってしまいましたが。

日々の音盤 2007/01 ⑥

2007/01/26 - 2007/01/31

Aztec Camera / Dreamland
Aztec Camera / Love/Stray
Beachwood Sparks / S.T.
Beachwood Sparks / Once We Were Trees
Beachwood Sparks / Make The Cowboy Robots Cry
Brendan Benson / One Mississippi
Brendan Benson / Lapalco
Brendan Benson / The Alternative To Love
Adam Daniel / Blue Pop
Bob Egan / The Promise
Roddy Frame / Western Skies
Adam Schmitt / Demolition

今回も旧譜をたくさん。これまでにも何度か書いていますが、Beachwood Sparksのアルバムは私の好きな作品なのです。以前は1stの方が好きだったのだけど、昨年ぐらいから2ndが大逆転。ここ最近、またもや聴き返していたら、どちらが良いとか、そんな事はどうでも良くなっちゃいました。どっちも最高。2002年のEPを最後に他の活動にシフトしているようだけど、復活して欲しいなぁ。

早くも2月になりましたが、1ヶ月前の2006年のベスト発表に関して注釈を。20位に選んだTim O'Reaganのアルバムですが、2005年に本人のオフィシャル・サイトでのリリースを経た後に、2006年になってLost Highwayレーベルから再リリースという形だったようですね。そんな情報を以前に目にした記憶があるのだけど、ベスト選定の際にはすっかり頭の中から抜け落ちていました。順位はあのままとしておきますが。

今日のYouTube。

Quasi & Elliott Smith / Paint It Black 《2007/03/01-リンク削除済》